K's Diary

時はわたしに めまいだけを残していく

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水族館の殺人 

サ行 | 青崎有吾 

水族館の殺人 (創元推理文庫)
青崎 有吾
東京創元社
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夏休み真っ直中の8月4日、風ヶ丘高校新聞部の面々は、取材先の丸美水族館で驚愕のシーンを目撃。サメが飼育員の男性に食いついている!警察の捜査で浮かんだ容疑者は11人、しかもそれぞれに強固なアリバイが。袴田刑事は、しかたなく妹の柚乃に連絡を取った。あの駄目人間・裏染天馬を呼び出してもらうために。“若き平成のエラリー・クイーン”が、今度はアリバイ崩しに挑戦。


実は前作の記憶がほとんどないんだけど大丈夫かな?と思いつつ読了。

ミステリドラマ一般において警察が無能という設定はもはやテッパンではあるのだけど、、、
個人的にはしょうしょう切ない。まあおもしろいから良いんだけど。

事件解明にあたり、消去法によって着実に犯人を絞り込んでゆくところはまさに圧巻。すげえ。
これだけ蟻の這い出る隙もないほどの理詰めでやられたら、犯人ぐうの音も出んね。
もしもわたしがヤツだったら凍てつくような恐怖と緊張感で失神してしまいそうやわ。

ラストで天馬の口から語られる殺害の動機は、物語の軽快さとは裏腹に
苦い毒がありすぎて気持ちがざらついた。

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十三回忌 

サ行 | 小島正樹 

十三回忌 (双葉文庫)
十三回忌 (双葉文庫)
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小島 正樹
双葉社 (2013-07-11)
売り上げランキング: 349,351

自殺とされた資産家夫人の不審死。彼女に呼び寄せられるかのごとく、法要のたびに少女が殺される。一周忌には生きながら串刺しにされ、三回忌には首を持ち去られ、七回忌には唇を切り取られていた。そして迎えた十三回忌、厳戒態勢の中、またもや事件が起きた―。巧みな謎と鮮やかな結末に驚愕必至の長編ミステリー。


年忌法要がおとずれる度に少女が死ぬ――
一周忌には串刺しに、三回忌には斬首され、七回忌には唇が切り取られる。

中でも一周忌の少女が超ヒサン。生きたまま串刺しにされるとかヴラドかよ?
まだ肛門からじゃないだけ救われる。救われないか。

意外な犯人もさることながら問題はそのトリック。

「アクロバティックすぎるやろっ!」

どんだけ運に恵まれてるんだ犯人!警察これで納得してほんまにええの?と心配でわらわらしてしまう。

人里離れた豪邸。胡散臭い人々。猟奇的な連続殺人。驚愕のトリック。
イイですねえ。目がハートですよ。人物が描けてないとか、この際どーでもええやないですか。

「いいぞ、モットヤレ♪」

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13:22 |  trackback: 0 | comment: 0 | edit

偽恋愛小説家 

ナ行 | 森晶麿 

偽恋愛小説家 (朝日文庫)
森 晶麿
朝日新聞出版 (2016-07-07)
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晴雲出版からデビューした恋愛小説家・夢宮宇多と担当編集者の月子は、「シンデレラ」のようなエピソードを持つ女性を訪ねることになる。話を聞くうち、夢宮は彼女の恋物語に隠された恐ろしい“真実”に気づき…。おとぎ話に秘められたビターな恋と謎を読み解く連作ミステリ。


乙女がお伽噺に込めた夢や憧れをケンモホロロに打ちくだき、
そのうえ繰り広げられるのはけっこうな男女のドロドロ愛憎劇だったりするのですが
これがフシギと爽やかで、洗い立てのコットンシャツのような読み心地。

有名な『眠り姫』や『人魚姫』などの物語もアプローチの角度を変えることで
別の側面が見えてくるおもしろさ。
それが人間の暗部に渦巻いている負の感情とうまく合わさって、
甘くて残酷で小粋なミステリへと効果を発揮しています。

またラストで明かされる“あのトリック”にはまったく意表を突かれて
しばらく頭がついて行かなかったわン。



これが日本の民話・童謡が題材だと、あんな風なスタイリッシュな物語にはならず
ねとねとぎとぎとの血みどろ粘着ホラーになってしまうんだろうナ。

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19:40 |  trackback: 0 | comment: 0 | edit

白雪姫には死んでもらう 

サ行 | ネレ・ノイハウス 


空軍基地跡地の燃料貯蔵槽から人骨が発見された。検死の結果、11年前の連続少女殺害事件の被害者だと判明。折しも、犯人として逮捕された男が刑期を終え、故郷に戻っていた。彼は冤罪だと主張していたが村人たちに受け入れられず、暴力をふるわれ、母親まで歩道橋から突き落とされてしまう。捜査にあたる刑事オリヴァーとピア。人間のおぞましさと魅力を描いた衝撃の警察小説!


そのあまりにキャッチ―なタイトル。
ずうっと気になっていたのをようやく読了。
おもしろかった!!

閉鎖的な村で起こった殺人。村ぐるみで隠蔽される事の真相。白雪姫の謎。
登場人物はみんな何がしの不穏な秘密を抱えていて、それぞれが保身のために嘘を吐く。
まるでドイツ版横溝正史の世界。
田舎のしがらみの根深さは国の内外を問わず。おぞましい悪意も最恐なり。

それにしても出てくる男たちがことごとくヘタレでびっくり。
特にオリヴァーのグダグダぶりときたら思わず後頭部をスリッパではたきたくなるくらい。
それに比べて良くも悪くも女性陣のまあ何とも勇ましいことよ。
海外ドラマのように眼前に絵が浮かぶような臨場感でサイコーに興奮した!

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黒面の狐 

カ行 | 三津田信三 

黒面の狐
黒面の狐
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三津田 信三
文藝春秋
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戦後まもない混乱期。主人公の物理波矢多(もとろい・はやた)は満洲の建国大学から日本に帰国し、足の向くままに北九州の炭鉱で炭坑夫となって働き始める。そこで、同室の合里が落盤事故で坑道に取り残されたのを皮切りに、炭坑夫が次々と自室で注連縄で首を括るという、不気味な連続怪死事件に遭遇する。その現場からはいつも、黒い狐の面をかぶった人影が立ち去るのが目撃され……。


ホラーじゃない三津田作品はほんとうに久しぶり。
背景となる炭鉱の風俗がとても丁寧に描かれていて興味深かった。

あまたの悲劇を体験し無神論者となった者ですら、
自然と神仏に縋ってしまうほどの不安を坑内には覚えるという。
怪談はまことしやかに語り継がれ、荒くれ者も俗習に従い、験を担ぐ。

そんな炭鉱が舞台ならさぞかしおどろおどろしい魑魅魍魎が登場すると思いきや、
意外にかっちりとした正統派本格。そして……

出ましたラストでのめくるめくミスディレクション!

これぞ三津田ミステリの真骨頂。このお約束がたまらん~
「手記」の部分は正直読むのがとても辛い。骨太な良作でした。


放浪探偵、物理波矢多(これまた刀城言耶なみにけったいな名前)も
どうやらシリーズ化しそうな気配ですね。
『木霊殺人事件』かあ。楽しみやなあ。
なんだか和田慎二さんの怪奇漫画『朱雀の紋章』を想起して勝手にぞわぞわしています(*´ω`)

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17:53 |  trackback: 0 | comment: 0 | edit