絡新婦の理[全4巻]


舞台は戦後まもない日本。聖ベルナール女学院に潜む、背徳の集団による呪いの儀式。世間を震え上がらせる連続殺人鬼・目潰し魔。二つの事件の陰で糸を張り巡らせる〝蜘蛛〟の正体とは? 京極堂、榎木津、木場ら、人気キャラクター総出演でおくる傑作ミステリがついに漫画化!


『魍魎』『狂骨』『姑獲鳥』ときて、ついに『絡新婦の理』だ。
原作ファンからも信頼の厚い志水センセイの百鬼夜行<京極堂篇>シリーズ第4弾。
完結本が出てから一気読みしようとずうっと温め続けていたとは、健気で我ながら泣ける。

『絡新婦』といえば、やはり冒頭での桜吹雪のシーンが印象的なのですが、
コミックでは残念ながら構成が変更されておりました。うわあ。マジか。
なんとも幽玄でドラマチックな演出だっただけに、ちょっぴり寂しい。
つか、京極堂の容貌が前作よりさらに邪悪になってきてほぼ妖怪化してるんですけど…ぉ?

それにしても、ここの中学生は発育がええのう。
しどけないバスローブ姿からのぞく夕子さんの豊満な谷間はとても十三歳にゃあ見えんゾ。
そして青木さんのパジャマがりんご柄だったのがなにげに萌えた。かわいい。
また降旗さんのジゴロ?ぶりがみょうに哀愁があってかっこよく見えるフシギ。
増岡弁護士と京極堂との会話シーンもコミカルで楽しい。彼(増岡さん)ってこんなキャラだっけ??

しかしちょっと油断するとすぐに目潰し魔と絞殺魔がコンランする。ううっ。脳内カオス。
グレートな志水センセイはご遺体の描写にも容赦がない。
それは男だろうが女だろうが、たとえうら若き乙女であったとしても。ある意味平等。
鼻水やヨダレどろどろ垂れまくりで小夜子ちゃんじゃっかん不憫。

益田さんはさすが元刑事なだけあって冷静な物腰で聴取がお上手。たいへん優秀でございます。
そしてエノさんはオイシイところを持っていく。
でもって京極堂のトホホな巻き込まれ感はやっぱりツボ(*´ω`)

満を持した最終巻はまるまる一冊すべてが謎解きの回。それでもまだ足りない印象。
原作を知っていても大概やのに、未読だったら理解が追いついていかなかったかも(それはおまえがアホだから)
それほど濃厚な最終巻でございました。人もあり得ないくらいばたばた死んだし。

彼女たちが死んだ理屈はわかったけれど、死ななければならなかった理由はわたしにはよくわからない。
原作でも思ったが、ジェンダーに翻弄されあまつさえ実父の手にかけられた葵がやはり憐れでならない。
ただ(コミックでの)茜にはフシギなほど何の感情もわかなかった。

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Posted by K@zumi

謹賀新年

あけましておめでとうございます

この年末年始は『十角館の殺人』を皮切りに、
お気に入りのミステリ本をまったりと再読しつつ至福の想いで年越しをいたしました。

今年も良い本がたくさん読めますように。良い写真が撮れますように。

みなさまの一年も幸多からんことをお祈り申し上げます


てことで、、、

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Posted by K@zumi

書楼弔堂 破暁

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京極 夏彦
集英社
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古今東西の書物が集う墓場。移ろい行く時代の中で迷える者達。誰かが〈探書〉に訪れる時、一冊の虚(うそ)は実(まこと)になる。明治20年代の本屋が甦る、新シリーズ!


『 どのような本をご所望ですか――と亭主は云った。 』


人は自分にとっての唯一無二の一冊を探し求めているのだそうです。
人生における、その“たった一冊の本”を見つけられれば、その方は仕合せなのだと。
そうおっしゃる弔堂の主は、京極堂をすこしソフトにした感じの幽霊みたいな人。
てか、作中に中野の武蔵清明社宮司の中禅寺という方が登場するのはご愛嬌というか、ちょっとしたファンサービスかしらん。
ここでみなさん一様ににんまりとしてしまうハズ。

己の人生を託すことのできる「一冊の本」を求めて弔堂へと導かれるように訪れる、それぞれの物語に登場するもうひとりの主人公には、歴史上のそうそうたる巨人たちが名を連ねています。
そのあまりの豪華すぎるメンツにちょっとめまいが、、、


わたしにも出会えるだろうか、そんな一冊に。
もしかしたらもう出会ってるのかもしれない。気づいていないだけで。
あれでもない、これでもない、と死ぬまでうろうろと迷い続けてしまうのかもしれないな。

タイムマシンに乗って、弔堂に出掛けていって、聞けるものならお聞きして、ご主人にわたしの一冊をお勧めいただきたい気もするけれど、でも。
心の奥の柔らかくひりひりと痛い部分を彼のその昏く静かな瞳でスッと真っ直ぐに見透かされてしまうようで、そしてそれはやっぱり何やらとても恐ろしい気もして、わたしの本探しの旅は寄り道や道草をくり返しながら「青春18きっぷ」よろしくこれからもちんたらちんたらと続くのでしょう。

ああそれにしても、『グラスホッパー』の“鯨”がたまらなくうらやましくなってきた。

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Posted by K@zumi

姑獲鳥の夏 [全4巻]

姑獲鳥の夏 1 (怪COMIC)
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志水 アキ
角川書店
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京極夏彦のデビュー作がついにコミック化! 京極堂の憑物落し。記憶を視る探偵・榎木津礼二郎。シリーズの原点にして京極夏彦の伝説の原点がここに紡がれる。


かれこれ20年ほど遠ざかっていた漫画熱を呼び覚ますきっかけとなったのは何を隠そう『ちはやふる』だったのですが、本格的に読み漁りだしたのは、その時に実にタイミングよく行われた“【Kindle】角川書店50%オフの大キャンペーン”で「えいや!」とばかり大人買いした、志水アキさん著の「京極堂シリーズ」からだったかなあと思い起こされます。
いつもゲリラ的に行われるキャンペーンなので、当時の心境としては、偶然にもこの半額セールが重ならなかったら、手に取ってみることはおそらくなかったんじゃないないのかしらん?とも思えるのです。
まさにめぐり合わせよね。
そのときに購入したのが『魍魎の匣』(全5巻)と『狂骨の夢』(全5巻)

これがですね、当たり だったわけです。

このコミカライズはよくできているというのは京極ファンのあいだでも有名で、アマゾンなどのレビューも然りで前々から承知はしていたのですが、実際に読んでみるとこれがうわさにたがわずクオリティ高くてほんとうに感服しました!
うち『匣』の方は映画になったりアニメ化されたりと京極作品のなかでも比較的わかりすいエンターテイメントな作品なのですが、『狂骨』なんて漫画で読んだ方が細かい内容やややこしいカラクリがしっかり頭に入ってまさに目の覚める思いがしたもんですよ。

で、この『姑獲鳥の夏』なわけです。

京極作品はどれもこれも恐れをなすくらいの長編ぞろいで、しかも難解な薀蓄てんこ盛りのためなかなか再読するには勇気のいるページ数(特に『鉄鼠の檻』なんてわたしはよく読破できたと自分をほめたいくらい)なのですが、『姑獲鳥の夏』に限ってはわたしは3,4回ほど再読しています。
つまり、それだけこの作品に感銘をうけちゃってたわけですね。
『姑獲鳥』は帯に“綾辻行人絶賛”の推薦文がなかったらきっと読んでいなかったろうし、読んでもこれほど衝撃をうけなければ、その後のシリーズをまさに狂ったように読み続けることもなかったろうし、ほんとうに自分にとって記念すべき作品なのです。

京極堂シリーズ、興味あるけどちょっと腰が引けるわあ、という方もこのコミックスなら大丈夫じゃないでしょうか?自信もっておススメできそうです。
で、そのあと小説をゆっくり読む、というのもじゅうぶんアリかもしれませんよ。

因みに、現在志水先生が連載されているのが、わたしがシリーズ中いちばんのお気に入りストーリーでもある『絡新婦の理』とのこと!(待ってましたっ!!)
これ読むまでは死ねないな、と心に誓っております。

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Posted by K@zumi

ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔

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三部作ってのはほんとうなのかな

それまでは死なないでね キョーゴク先生


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Posted by K@zumi

死ねばいいのに

死ねばいいのに
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京極 夏彦
講談社
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死んだ女のことを教えてくれないか―。
無礼な男が突然現われ、私に尋ねる。私は一体、彼女の何を知っていたというのだろう。問いかけられた言葉に、暴かれる嘘、晒け出される業、浮かび上がる剥き出しの真実…。人は何のために生きるのか。この世に不思議なことなど何もない。ただ一つあるとすれば、それは―。


「ようは気のもちよう」
とゆう、まったく身もふたもないひとことに尽きるお話なのだが、そこはやはり京極さん。
読ませてくれます。

『死ねばいいのに』とゆうげんなりするような後ろ向きタイトルから想像していた感じとは、しょうしょう異なったストーリー展開にまずびっくり。
自らを「オレ、頭わりーすから」といまどきのだらしない若者言葉と格好で登場する、いったい何者なのかさっぱり分からない青年「ケンヤ」。 その突然あらわれた謎の男によって、人々の心の底のフラスコにどす黒くとごった澱が、彼の言葉のしずくをぽとりと数滴たらされただけでまるで化学反応でもおこしたみたいにさあっと消え去ってしまう感覚の奇妙さ、滑稽さ、爽快さ。
これもいわゆるひとつの憑き物落としなんですかねー。

作中で今は亡きヒロイン「亜佐美」を彼女にかかわった人々に語らせることによって、その人物像を巧みに浮かび上がらせるとゆう手法は、映画などでもけっこう使われているテクニックではあるのですが、それでも物語が進んでゆくほどに、よりミステリアスでドラマチックで、やがて信じられないくらいの衝撃を与えてもらえるのは、読者としてはたまらない快感ですね。

狂気と正気。
人は誰でもほんのちょっとだけ狂気をはらんでいて、それに気がつかないか、あるいは誤魔化しているかで、人間はある意味みんなどこかマトモではないんだろうな。
と、今いるストレスで窒息しそうな現実社会を見渡しながらつらつらと考えてしまうのでした。

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Posted by K@zumi

姑獲鳥の夏

姑獲鳥の夏 プレミアム・エディション [DVD]
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昭和20年代末の東京。雑司が谷にある大病院に奇妙な噂が。なんと院長の娘が20ケ月もの間妊娠、しかも娘の夫が忽然と姿を消したという。さらにこの病院で新生児が姿を消したり、元看護婦が謎の死を遂げたりも。これらすべての事件を古本屋の店主であり陰陽師でもある京極堂が解いていくことに……。


劇場もほぼ満席状態で、パンフも品切れのため入荷待ち状態!そこそこヒットしてる感じでした。

例の反則気味のトリックも無難な形で処理されていましたし、何よりあの長大な原作をよくぞここまで要約してくれましたということで、まあまあなのではないのでせうか。
斬新な演出とくらくらするような映像美は、偉大なる「怪奇大作戦」や「ウルトラマンセブン」を撮られた鬼才、実相寺監督ならではのもの。

京極、とゆうか原作ファンにはとうぜん賛否両論あるんでしょうが、まあ小説と映画はいろんな意味で "別物" ってことで。
ここでもやはり秀逸なのは、エノさん役の阿部寛さんですね~
ほんとうに「つかつか」歩いてました。おみごとです。

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Posted by K@zumi

数えずの井戸

数えずの井戸
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京極 夏彦
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数えるから、足りなくなる。それは、はかなくも美しい、もうひとつの「皿屋敷」。人口に膾炙し怪談となった江戸の「事件」を独自の解釈で語り直す人気シリーズ第三作。


『嗤う伊右衛門』『覘き小平次』に続く、京極流解釈の怪談物シリーズ第三弾。
今回はお菊さんの幽霊が「いちまい、にまい」と古井戸からうらめしく皿を数える「番町皿屋敷」が題材です。

もともとの「番町皿屋敷」のストーリーはほんとうにざっくりとしか知らなくて、たしか青山播磨は所帯持ちで美しい腰元のお菊に播磨が横恋慕して、けっきょくその奥方の悋気にあった末、お菊は無実の罪を着せられ無残に殺害されたうえ古井戸に投げ込まれる、、、といったお話だったように記憶しています。

他にも、播磨は独身貴族でお菊とは恋仲で、お菊が縁談の持ち上がった播磨の気持ちを試すために家宝の皿をわざと壊して、それが播磨にばれて、自分のことをそんなにも信用していないお菊が許せなくなって成敗してしまった。とゆうのもあるようです。

さてさて、ではこの京極風「番町皿屋敷」はいかなる物語に仕上がってるのでしょうか。
それはぜひともご本を手に取られて、そしてこのひたひたと黒い水が染み入るような昏くて静かな狂気の世界へとどっぷり迷いこんでいただきたいと思います。

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Posted by K@zumi

邪魅の雫

邪魅の雫 (講談社ノベルス)
京極 夏彦
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「殺してやろう」「死のうかな」「殺したよ」「殺されて仕舞いました」「俺は人殺しなんだ」「死んだのか」「―自首してください」「死ねばお終いなのだ」「ひとごろしは報いを受けねばならない」昭和二十八年夏。江戸川、大磯、平塚と連鎖するかのように毒殺死体が続々と。警察も手を拱く中、ついにあの男が登場する!「邪なことをすると―死ぬよ」。


終盤の「世間話」のくだりは、相変わらずとおおっても魅力的ですねぃ。
ざんざん混乱させられて、泣けるくらいカオスなあたまのなかを迷いのない言葉で、魔法のようにきちんと整理整頓されていく感覚は、それこそ脳みそのしわの一本一本にまでたっぷりとみずみずしい酸素をおくりこまれたかのごとく。 あまねく細胞がわさわさ騒ぎだして、目の前がいっきにクリアになる心地。
納得とは、こういうことをいうのね。言葉ってまさに呪いだわ。

最初はですね、ひとつの悪意がまったく関連性のない他人たちによってバトンのようにつぎつぎと媒介されてゆく、、、というか、ある意味『リング』ちっくなものを想像していたのですね。

すこし違っていました。
どうちらかというと、この前みた『運命じゃない人』的な楽しさがありました。
あそこでも"あゆみ"と名のるあやしげで不穏な人物をめぐってあちこちで実にさまざまなストーリーが展開してゆくのだから。

さてさて今回の京極噺には死ぬほどややこしいながらも、とくに謎らしい謎があるというわけではなくお約束の妖怪にかんするウンチクも、憑物落とし的な部分も少なめだったし、また四天王の出番もあえてひかえめなところが、ちょっぴり寂しかったけれど。
(なんてったって木場修の露出があまりにもすくなすぎやんっ!?)

三年待った、厚さ42mmぶんはしっかり!とたのしませていただきました。
偉大なる作家に、あらためて感謝を。
でもってこの度の我らが榎木津礼二郎は、「傍若無人な神」なのではなく切なく哀しい「ひとりの青年」でありました。 それもまたホロ苦げできゅ~ん、、、

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Posted by K@zumi