K's Diary

時はわたしに めまいだけを残していく

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

乱鴉の島

乱鴉の島 (新潮文庫)
乱鴉の島 (新潮文庫)
posted with amazlet at 16.07.21
有栖川 有栖
新潮社
売り上げランキング: 108,696

犯罪社会学者の火村英生は、友人の有栖川有栖と旅に出て、手違いで目的地と違う島に送られる。人気もなく、無数の鴉が舞い飛ぶ暗鬱なその島に隠棲する、高名な老詩人。彼の別荘に集まりくる謎めいた人々。島を覆う死の気配。不可思議な連続殺人。孤島という異界に潜む恐るべき「魔」に、火村の精緻なロジックとアクロバティックな推理が迫る。


念願の再読。

火村シリーズ初の孤島もの!(だよね?)
ほとんど冗談のような勘違いで、まるで「獄門島」のようなルックスの烏がわんさかと群れる不気味な孤島におじゃま虫してしまった犯罪学者とミステリ作家。
“孤島”というその響きだけでもうじゅうぶん小さな胸をあつく焦がすうえに、これまたダメ押しのように導入部分に登場する大乱歩の『パノラマ島奇譚』や夢野久作の『瓶詰地獄』おまけに宮澤賢治の『注文の多い料理店』などの幽玄夢幻をさそう名作の数々。
否が応でも気分は盛りあげられ、さてこれからいったいどんな惨劇が待ち構えているのだろうか。
奇っ怪な招待状によって集められた見知らぬ男女。怪しげな童謡に見立てられた連続殺人。不可解な暗号。心理の盲点を突く密室トリック。そして名探偵をあざ笑うかのような挑発的なメッセージ……

しかしながら本書はそういった華々しいクローズド・サークルのセオリーを確信犯的にするっと踏み外した、禍々しいどころかある意味とても、とても静かで寂しくて痛々しさに満ちたガラスの林檎のような物語。
端的に云うと地味、ということになるのでしょうが、有栖さんの文章の美しさと相まって、これはまるで一編の詩のような厳かな気配をまとう本格ミステリです。
しかも今回、火村英生が事件に“巻き込まれる”のです。江神さんのお株をとっちゃいましたね(ω)
いつもはそれこそ烏のように自ら死体の方へと寄っていくあの火村センセが!(ごめん)
序盤の雰囲気からオカルティックなものを連想していた方にはしょうしょう肩すかしかもしれませんね。
でもいつか読んでみたいなあ。火村英生でそんなこれ以上ないくらいのコテコテの孤島もの。

ある目的のために秘密結社のごとく「烏島」に集まっている、固い結束力をもつ謎めいた人々。
そんななかで殺人事件が発生するが、彼らに胸襟を開いてもらえず部外者として敵視されるふたり。
そこに最先端科学技術がからみ、捜査は混迷を極め、次第に身の危険さえ感じはじめるアリス。
そんな完全アウェーの状況で孤軍奮戦する火村氏とアリスがつかんだ異常で奇妙な事の真相とは――

この作品では火アリの漫才は少なめですこしカナシイのですが、代わりにかわいい少年と少女が登場し、彼らとアリスたちとの交流が子猫がじゃれ合うみたいにほっこりしててとおおおっても和みます。
一緒にキャッチボールをしたり小説を考えたりと、ふたりとも案外子守が似合うんですよねえ。ぷぷっ。
そうそう少年から「変化球、投げられる?」との無邪気な問いかけに火村氏が「俺は曲がったことが嫌いだ」と大人げなく答えるところもなに気にくすり。
曲がったことが嫌いな割には、アリスにはシュートを投げるんだからホント火村サンってややこしいω

スポンサーサイト

ラバー・ソウル

ラバー・ソウル (講談社文庫)
井上 夢人
講談社 (2014-06-13)
売り上げランキング: 116,928

幼い頃から友だちがいたことはなかった。両親からも顔をそむけられていた。36年間女性にも無縁だった。何度も自殺を試みた―そんな鈴木誠と社会の唯一の繋がりは、洋楽専門誌でのマニアをも唸らせるビートルズ評論だった。その撮影で、鈴木は美しきモデル、美縞絵里と出会う。心が震える、衝撃のサスペンス。


井上夢人さんの『ラバー・ソウル』をほぼ一気読み。

なんというか、これは、すごい!
あーもー。ちょっと言葉を失う。これだけの長編なのにまったく長さを感じさせない圧巻の筆運び。
目の前の世界がぐるりと180度変わる瞬間に立ち会って、まるで浮遊感のような衝撃に頭がぐらぐらします。

物語は一人称で語られる「殺人者の手記」と事件関係者への「事情聴取」とを織り交ぜながら進む形式となっていて、これがもうすばらしく巧妙なわけです。これもいわゆる●●トリックになるのでしょうが、こんなの見抜ける人なんてまずいないでしょう。つか、見抜けるハズがない。と思う。
(とはいえ、読んでいてたしかに違和感のある記述が出てくるんですよ。ネタバレになるので控えますが。「あの辺の不自然さがおそらく伏線なんだろうな…」と思っていて、たしかにそれは伏線で間違いなかったのだけど、単純なわたしが想像していたのとはワンランクもツーランクも上をいっていたのであった。あたり前)

名作『クラインの壷』にあれだけ綺麗にやられちゃったので、これがただのサイコサスペンスであろうはずはない。裏にどれだけトリッキーな物語が隠されているのだろう。結末にはどんな驚きが待っているのだろう??と胸をキュンキュンさせていた可憐な想いは、美しく成就させていただいたのでした。ああ、至福。
(井上先生はツイッターでよくご近所の風景写真をアップされていて、前に「ステキなお写真ですね」と感想を送ったらリプライくださったことがあった。あれからわたしのなかではすっかりイイ人になっている)

やーもーこれはぜひ 予備知識なしで 読んでみてください。
あまりにも粘着質で心が壊れそうなくらいただもうひたすらにどろどろねちゃねちゃのストーカー描写のグロテスクさ(まあある意味テッパンな造形でもあるが)に、イタイケな女子などは腰が引けて思わず本を放り投げてしまいそうになるでしょうけど、そこをぐっとこらえて読み進めていってもらいましょう。
怒涛のラストシーンをむかえ事の真相がすべて明らかになったとき、景色はそれまでの色をがらりと変え、長く苦しめられてきた吐きそうなくらいの気持ち悪さが、一転、せつなくて悲しくてどこまでもやるせなくてホント心がふるえますから!

戦慄のストーカー小説であり、究極の純愛小説。おためしあれ。

りら荘事件

りら荘事件 (創元推理文庫)
鮎川 哲也
東京創元社
売り上げランキング: 116,236

残り少ない暑中休暇を過ごすべく、秩父の『りら荘』に集まった日本芸術大学の学生たち。一癖も二癖もある個性派揃いである上に各様の愛憎が渦巻き、どことなく波瀾含みの空気が流れていた。一夜明けて、りら荘を訪れた刑事がある男の死を告げる。屍体の傍らにはスペードのA。対岸の火事と思えたのも束の間、火の粉はりら荘の滞在客に飛んで燃えさかり、カードの数字が大きくなるにつれ犠牲者は増えていく。進退窮まった当局の要請に応じた星影龍三の幕引きや如何?


まさに王道。様式美好きには心底たまらない展開。

完全に孤立してしまってるわけではないので「吹雪の山荘」とは云いにくいところはありますが、豪奢な館で巻き起こる謎の連続殺人、死体に添えられるカード、鮮やかな推理を披露する名探偵、おまけに郷愁を誘う青春ミステリとくればこれはもう紛れもなくど真ん中ストライクの設定。すでにプロットだけで萌え死しそう。

ミステリドラマ全般において警察というのは往々にして無能なのはお約束でして、本作においても人の良い刑事コンビ(憎めないんだナ、これが)がまるで狂言回しのような役どころを仰せつかっています。
やがて連続殺人事件が“もうどうにもとまらない♪”状態に陥り、にっちもさっちもいかなくなった検事さんから「どうも、この事件は、われわれの手に負えない。こうなったら、探偵に解決を依頼しよう!」なんて提案まで飛び出すというテイタラクぶりで、こんなセリフもしも鬼貫さんが聞いたら頭抱えて一週間くらい寝込んじゃうんじゃないのかしらん。と心配してしまうくらい。
で、その名探偵、星影竜三は最後の最後、残りページ数もあとわずかとなったあたりで颯爽と登場し、みごとな推理でまたたく間に事件を解決してしまうのです。ああ、ほとほと警察は立つ瀬がない、、、

この小説では7名もの老若男女がばったばったと気持ちよく殺されてゆきますが、だからといって特に残酷な描写もなく物語にも陰惨な感じはまったく受けないので、恐いのダメな人でも最後まで娯楽性の高いミステリとして安心して読むことができると思います。おすすめ。
それにしてもこの犯人、スゴいわー。
もちろん作者が巧みにミスリードしているから(そもそも序盤での記述による、“ある先入観”の植えつけ方なんてもう憎らしい!)なのですが、その役者ぶりはアカデミー賞ものだし、たとえ架空の人物と分かっていても、なんとも狡猾で抜け目なくどこまで頭のイイやつなんだろうと感心してしまいます。

曲者ぞろいの登場人物。周到に仕掛けられた伏線。目からうろこがぽたぽたのトリック。すっかり誤認させられていた事件の動機と意表を突く真相。はー、鮮やか。
やっぱりね、本格はこうあってほしいですよね。この得もいわれぬカタルシスこそミステリの醍醐味。
かの有栖川有栖の「学生アリスシリーズ」も綾辻行人の「十角館の殺人」も氏の作品に影響を受けていることはまるっとスリっとゴリっとエブリシングその通りだし、たとえ時代は流れ「こんな大学生いねぇよ!」とか「医学的にそれってどうなの?」てな印象をもたれたとしても、でも多くの本格ミステリファンは作品の中心でどくどくと豊かに脈打っているゆるぎない「普遍性」に傾倒しているのだから。
その真髄は今も変わることなく読者を魅了し、これから先もファンの心をふるわすのだと思います。

楽園のカンヴァス

楽園のカンヴァス (新潮文庫)
原田 マハ
新潮社 (2014-06-27)
売り上げランキング: 1,807

ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに籠めた想いとは――。山本周五郎賞受賞作。


正直に告白してしまうと、わたしは自分がこの物語にこれほど感動するとは、
最初の1ページをめくった時点では思ってもいませんでした。
それが、最終章では自分でも不思議なくらい感極まって目の前を熱くさせてしまうなんて
こんなことはいったい何ヶ月ぶりのことなのだろう。

今回は、わたしも余興の一つとして、この本の内容に倣って
主人公たちと同じように一日一章ずつ読み進めていくという趣向で物語を追いかけてみました。

ほんの気まぐれだったのですが、これが功を奏したのかどうかはわかりません。
ただ
気がつけば、濃く濡れた緑の草いきれの
狂気のごとく鮮やかな花々の
みだらに熟れた果実の、妖しく甘美な香りにくらくらと酔いしれながら
楽園という名の湿度の高いスイートな悪夢、いえ密林に迷い込み
そしてわたしの気持ちは、
もしかしたら、ティムに、ルソーに、ヤドヴィガに、あるいはピカソに
たとえほんのすこしでも
より深く、より痛く、より切実に寄り添えたのではないかと感じています。

ああ、おかしなもので、人ってほんとうに感動したときには言葉が何も出てこないものですね。

とにかく、すばらしい作品でした。出逢えてほんとうに良かったです。

林檎の木の道

林檎の木の道 (創元推理文庫)
樋口 有介
東京創元社
売り上げランキング: 234,146

暑く気だるい高2の夏休み。
池掘りをして退屈をまぎらわせていたぼくのもとに、元恋人の死が告げられる。気まぐれで面倒なやつだったけど、自殺するような子でもなかったはず。あの日ぼくは、渋谷から彼女の電話を受け、その呼び出しを断っていた。渋谷にいた彼女が、御宿に向かったのはなぜか? 深まる謎と、次第に明らかになる自分の知らない彼女の姿。悲しくも、爽やかな夏と青春の姿を描いた、著者の代表作。


狂ったような夏の暑さと、その殺人的な日差しのように、ヒリヒリとうすい胸を焦がす。
瑞々しいというよりは、だくだくと流れ落ちる汗にまみれながら
それでも干上がるような痛々しい喪失感をのこす残酷な青春のひとかけら。

とても高校生とは思えないドライでクールな主人公と、まったく感情移入のできない中二病なヒロイン。
がっつり本格ミステリというわけではなく、かといって濃厚な人間ドラマというわけでもなく、
どちらかというと居酒屋のカウンターでひとりビールのおかわりをするみたいに淡々と物語は進む。
このカラカラに乾いた蒼いハードボイルドちっくなところがこの著者の作風なのかな?
どことなく80年代風なこじゃれた気だるい空気の漂う、かすかに懐かしさの香る青春小説ですね。

会話がおしゃれなのか漫画チックなのかよく分かんないところが、中二ぽいっちゃー中二ぽい。
軽快でテンポは良いんだけど、なんというか伊坂くんとはちょっと違う感じですね。
このへんの合う合わないは個人の好みになるのでしょう。
切なく甘酸っぱい青春ミステリはダイスキなんだけど、わたしにはすこし肌に合わなかったかな?
という印象でした。


おっとそうそう。
悦至ママの「なぜ男性にホモという現象が発生するか」についての考察はとても興味深かったな~

恋愛中毒

恋愛中毒 (角川文庫)
恋愛中毒 (角川文庫)
posted with amazlet at 16.01.05
山本 文緒
角川書店
売り上げランキング: 7,756

もう神様にお願いするのはやめよう。―どうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛するように。哀しい祈りを貫きとおそうとする水無月。彼女の堅く閉ざされた心に、小説家創路は強引に踏み込んできた。人を愛することがなければこれほど苦しむ事もなかったのに。世界の一部にすぎないはずの恋が私のすべてをしばりつけるのはどうしてなんだろう。吉川英治文学新人賞を受賞した恋愛小説の最高傑作。


ずっと以前に薬師丸主演のドラマを少しだけ見た気がします。

そういえば最初からこのひとはひたひたと狂っているのですが、
それを感じさせず、うまくミスリードさせていく構成はお見事。
狂おしいほどの恋情を描きながらも、余韻というにはあまりに寂しく虚しく
一種の恋愛ホラーですなー。


どことなく小池真理子さんの『恋』の世界観をほうふつとしました。
『恋』は結末へ向けてのカタルシスの持っていき方がとにかくすばらしくて
ラストでは文字通り嗚咽するくらい号泣しちゃいましたが。

ララピポ

ララピポ (幻冬舎文庫)
奥田 英朗
幻冬舎
売り上げランキング: 85,767


いンやあ、エロい(^∇^)
どうにもならない人たちの、どうにもならない日常

林真理子さんの『みんなの秘密』をほうふつとしたのは
きっとわたしだけじゃないはず
もちろん女史のほうが数段ウエットだけど…

ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔

ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔<講談社ノベルス>
京極 夏彦
講談社 (2011-10-14)
売り上げランキング: 119,098


三部作ってのはほんとうなのかな

それまでは死なないでね キョーゴク先生


連続殺人鬼 カエル男

連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)
中山 七里
宝島社 (2011-02-04)
売り上げランキング: 7,816


愛らしい(くないか?)装画とはうらはら
ズシリと重い、そして、いろいろ痛い

意外にハードな内容になっておりまする

ラットマン

ラットマン (光文社文庫)
道尾 秀介
光文社 (2010-07-08)
売り上げランキング: 43,217

結成14年のアマチュアロックバンドのギタリスト・姫川亮は、ある日、練習中のスタジオで不可解な事件に遭遇する。次々に浮かび上がるバンドメンバーの隠された素顔。事件の真相が判明したとき、亮が秘めてきた過去の衝撃的記憶が呼び覚まされる。本当の仲間とは、家族とは、愛とは―。


道尾さんの『ラットマン』読みました。
『シャドウ』のときにもあんなにがっつりやられちゃってるのになんでそう素直なんだよ?オマエ。
て感じですね。ほんまに。
疑わなくっちゃいけません。なんてったって道尾さんなんですから。はい。

8ビートのサウンドのなか『厭魅の如き憑くもの』級のミスディレクションの連発で、うまい具合に肩すかしをくらいながら真相(勘違い?)が解明されてゆきます。
全体的には月の光のように淡く哀しいお話なんですが、エンディングはしっとりとハートウォーミングで救われます。sundownerのみんなの若くてノリのいい会話も楽しくてグーです。
また『屍鬼』を実にタイミングよくお盆に読んだように、この『ラットマン』もぐうぜん12月に読めたのは、とってもラッキーだったような。

Xmasはうれしいけれど、なんとなく切なくてもの悲しい。
イルミネーションはあまりにもキラキラと無邪気にきらめき、見てると泣きそうになる。
年の瀬は、華やいでいてもどこかしらしんみりと寂しい感じがしますね。

そんなしゅんとした気持ちとも相まって、キャンドルのような物語りになりました。

このカテゴリーに該当する記事はありません。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。