スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ユージニア

ユージニア (角川文庫)
恩田 陸
角川グループパブリッシング
売り上げランキング: 94,673

あの夏、青沢家で催された米寿を祝う席で、 十七人が毒殺された。 ある男の遺書によって、一応の解決をみたはずの事件。町の記憶の底に埋もれた大量殺人事件が、年月を経てさまざまな視点から再構成される。
日本推理作家協会賞受賞の傑作ミステリー


回想のなかの殺人。セピア色の殺人。
これは彼女がもっともお得意とするところ。

血みどろ(実際は血はほとんど出てないけど)の物語のはずなのに、子どものころお菓子のおまけについていた、上からこすったら下に絵が写し取られるオモチャのシールみたいに、遠い記憶をゆるく削りとるような、とても甘くなつかしい感覚さえしてくる。

けれど文面からしずしずと流れてくる、なんとも云えないまとわりつくような邪悪な空気は、吉田秋生さんの『吉祥天女』を読んだときに感じた、あの画面からゆらゆらとどす黒いもやが立ちのぼるような禍々しさと似てるな、と思った。 読んでいるうちに自分も意味もなくどんどん不安になっていくのがわかる。
目はただひたすらに文字を追っているだけなのに、場面が、色彩が、匂いが、ざわめきが、悪意が、悲しみが、夢が、絶望が、頭のなかに容赦なくどくどく送り込まれてきて、ざあって鳥肌がたつ感じ。

ラストはいかにも恩田陸って感じの終わり方。ひとりおいてけぼりにされたような。
目の前はチカチカして、胸騒ぎはなかなか消えてくれない。

そして思う。
真実はいつもひとつとは限らないのよ。
そして真実は、ひとの心は、いつまでたってもどんなことをしたって、他人には決してわからないもの。
彼女はそんなことを思わせてくれる。
わたしたちは所詮いろんなキーワードを適当につなぎ合わせては、なんとなくわかったような気になっているだけ。

すこし『絡新婦の理』を思い出していました。

関連記事
スポンサーサイト
Posted by K@zumi

マレー鉄道の謎

マレー鉄道の謎 (講談社文庫)
有栖川 有栖
講談社
売り上げランキング: 101,477

旧友・大龍の招きでマレーの楽園、キャメロン・ハイランドを訪れた火村と有栖川。二人を迎えたのは、舞い飛ぶ蝶ならぬ「殺人の連鎖」だった。ドアや窓に内側から目張りをされた密室での犯行の嫌疑は大龍に。帰国までの数日で、火村は友人を救えるか。
第56回日本推理作家協会賞に輝く、国名シリーズ第6弾。


強い日差しや、スコールの雨や青い草の匂い。まばゆいばかりに咲き乱れる原色の花々。
スパイシーでボリューム満点のマレー料理。くったくのない笑顔の人びと。明るく開放的な空気。
すべてが夢のように美しい。想像だけど。
そこで起こる奇妙な殺人事件。鍵を握るのは、やはりあの日のマレー鉄道の事故なのか。
やがて秩序はくもりのない瞳によって取りもどされ、おとずれる淡く光る蛍のともしびのようにはかなくもの悲しいそれぞれの結末、、、

なによりこの物語りを読んで、すっかりマレーの風土に魅了されてしまった感じ。
だって、かわいい大龍はもうすっかり心のなかで友だちになってるし、ぼやっとしてると彼を頼ってマレーシアに行ってしまいそうになる。
キャメロン・ハイランドに行って、彼のロータス・ハウスに泊まって、おいしい料理や飲み物をたらふく味わって、リゾート気分MAXの部屋の気持ちのいいベッドですやすや眠ってみたい。
そして少し車を走らせてブリスチャンの町まで行って、すばらしい眺めの景色~緑色の絨毯を敷いたような紅茶の畑~に、いつまでもいつまでも見とれていたい。

そんな風に、お気に入りのカメラぶらさげて他愛ないちいさな冒険をくり返し、甘い花の香りを吸い込みながら何日もただゆったりとまどろむように過ごせたらいいな。
そうそう、クアラセランゴール川での魔法のように幻想的な蛍ウォッチングもはずせないなー。
うっとりとしたキラめく幽玄の世界にトリップするのだ!
なんて真剣にプラン組んでしまうくらいだもの。すごい影響力。

行ってもいないのに、勝手に宝石のような旅の想い出をたくさん残してくれたみたいでした。
爽やかでドラマチックなストーリーに飢えている方に、ちこっとおすすめしておきます。

関連記事
Posted by K@zumi

夏の名残の薔薇

夏の名残りの薔薇 (文春文庫)
恩田 陸
文藝春秋
売り上げランキング: 423,370


奇妙なお話です。

耽美でシュールな騙し絵のなかにポーンと放り込まれて、
あたしはじょじょに平行感覚を失っていって、頭がくらくらしてきました。

静謐で、豪奢で、甘美な嘘に彩られた、音のない恐怖の世界です。

関連記事
Posted by K@zumi
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。