夜のピクニック

夜のピクニック (新潮文庫)
恩田 陸
新潮社
売り上げランキング: 3,158

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。
本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。


恩田陸にハズレなし!

「みんなで夜歩く」ただそれだけのお話なんですが、これが実におもしろいです。
またキャラ設定がまさに少女マンガの王道をゆくようなあり得ないくらいの都合良さ。
そしてこれまたみなさんキチンとお約束どおりに動いてくれるので、こちらはただ懐かしさや優しさや切なさにどっぷり身を任せながら、安心して読める。
この安心感てゆうのが、様式美好きにはたまらん要素なのだよ。

もっとも恩田さんの作品は "読む(いい意味で昔の)少女マンガ" だとも思っているので、できすぎた人物設定も、ちょっとミステリアスな展開も、淡くほろ苦い恋も、夢見る頃をはるかに過ぎてしまったおばさんには、ある意味とっても心地よくノスタルジックな作品でもあるのです。

別にあの頃の自分にはもう戻らなくていいけど、でも楽しかった時代。恥ずかしくて思い出したくもないような時代があったことを(羽海野チカさんの言葉を借りれば、)彼らが古き良き "青春スーツ" を着こんでさまざまに演じて見せてくれる。
わたしは指のすき間からちらちら覗くようにして、いとおしく彼らを鑑賞していたい。そんな感じです。

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Posted by K@zumi

赤い月、廃駅の上に

赤い月、廃駅の上に (幽BOOKS)
有栖川 有栖
メディアファクトリー
売り上げランキング: 882,692

有栖川有栖の新境地! 初の幻想怪談集。
作家生活20周年 記念出版 ミステリ作家が描く、初の本格幻想怪談集。
赤い月の光――。それは邪気を招く不吉な月。鬼月が出た夜は、異界への扉が口をあける…。


怪談専門誌『幽』に連載された8編に加え、他紙に発表された2編を加えたアリスさん初の本格幻想怪談集。

わたしは鉄ちゃんじゃなくて、鉄ちゃんの鉄道に対する真摯な愛に憧れるほうで。
そんな鉄道へのふかい想いとやさしい郷愁やつややかな叙情にあふれたいかにもアリスさんらしい、すこしもの悲しい香りする静謐な文章。

語り口は不思議なほどサラリと毒がなくて、短編はちょっぴり苦手なわたしでもひとつ読み終えるごとに心のなかにしんと白い粉雪が降り積もっていたような音のない透明な空気にまるごと満たされたみたいな気持ちになりました。
怪談といってもそれほど恐ろしいものではなくて、むしろじわっと胸に染みこむような、またきゅ~んと切ない物語の数々なんですよ。

怖い話アレルギーのかたも、まあ、いっぺん読んでみなはれ。オススメ。

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Posted by K@zumi

キタイ

キタイ
キタイ
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吉来 駿作
幻冬舎
売り上げランキング: 1,217,577

8人の高校生は、死んだ仲間・葛西を甦らせようと死者復活の儀式・キタイを行う。それから18年、復活を遂げた葛西はキタイの秘密を知る仲間を殺し、永遠 の命を得ようとするが…。
死者による、時を超えた惨劇が始まる。


胸きゅんスプラッタ的アウトサイダー青春残酷ストーリー多少矛盾アリ?て感じか。
中高生が大好きそうなホラー。おもしろかった。

もしも。
もしもですよ。
もしもむかし心の底から好きだったひとがあっけなく死んでしまって。
いきなりこの世からぷっつりと消えてしまって。
それが十何年かたったある日、とつぜんその人があのときのままの姿であらわれてあのときのままの切ない笑顔でこれまでの空白をうめるように求めてこられたら、果たしてわたしは拒めるだろうか。

拒めないだろうな。
おそらく99.9%の確率で。頭では相手が「人」じゃないと分かっていても。
なんか例えが年増おんな特有の下世話さ加減でとっても恐縮なんだけど。
でもたぶんほとんどの女子は、そうなんじゃないかな。て思う。

これって、怖い。
ものすごく、怖い。

これは別に本の内容とは無関係なことなんだけれど、ふと妄想して思わずブルってしまった。

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Posted by K@zumi

黄昏の囁き

黄昏の囁き (講談社文庫)
綾辻 行人
講談社
売り上げランキング: 172,668

兄急死の報に帰郷した医学生翔二は、元予備校講師占部の協力で、“事故”の真相を追い始めた。「ね、遊んでよ」謎の“囁き”に異常に怯える兄の幼馴染みたち。やがて一人また一人と殺人鬼の魔の手が伸びるなか、彼の脳裏に幼き日の恐るべき記憶が甦る。


お得意のホラーテイストなミステリ。
『緋色の囁き』『暗闇の囁き』と続く、"囁き" シリーズの第三弾。

あんなにか細く(今はそうじゃなくなってるけど…)聡明で色素の薄いさらさらの髪がふわふわとした少年のような風貌なのに、意外に力技でもってぎゅうぎゅうねじ伏せるような印象の文章だったりします。
でもその有無を云わせぬ押し倒され方がいいの。ちょっとMかも。

傷つき挫折した若者がある出来事をきっかけに自立し、じょじょに再生していく。とゆう物語りは、自分のなかでけっこうツボだったりするのですよ。
ここでは占部さんとゆうとっても魅力的なサブキャラの登場もうれしかったし、生ぬくいやさしさに包まれていて、そういう意味でも楽しい小説でした。
前作同様ホラーで血みどろ絵巻でドロドロなのに、読了後はなんとなく胸きゅんで爽やか。
今回はそんな感じ。

   僕にとって "本格ミステリ" というのは、随分と曖昧で語弊のある云い方だとは思いますが、
   "雰囲気" なのです。(by 綾辻行人

わたしが彼から逃げられないのは、まさにこれが大きな理由のひとつであると素直に認めちゃいます。

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Posted by K@zumi

ブラザー・サン シスター・ムーン

ブラザー・サン シスター・ムーン
恩田 陸
河出書房新社
売り上げランキング: 831,306

ねえ、覚えてる?空から蛇が落ちてきたあの夏の日のことを―
本と映画と音楽…それさえあれば幸せだった奇蹟のような時間。青春小説の新たなスタンダードナンバー誕生。


特になんてことない思い出話。ほとんどきままな独り言に近い。
別に何年とかって時代の説明はないけれど、みんながちょっとだけ狂ってた、そう、あの頃のまさにリアルで我々にはジャストミートな感覚。 さすが「ザ・同世代」

わたしは頭もそんなに良くなかったしお金も欲しかったので高校を卒業したらとっとと世間に飛び出してしまったわけだけど。 でもそんな花の女子大生の経験がないわたしでもなんでか胸がきゅうとなるし、「ああ。分かる分かる」と目を伏せてこくこくうなずいてまうしまうような 真面目で真摯であるがゆえの屈折感?みたいなものをどくどくと感じてしまった。
いっしょだ!と思ったら、可笑しいような羨ましいような痛くて複雑な気持ちになった。

またしても無防備なハートにぐっとくるようなノスタルジア。
カタカタと乾いた音をならしてスクリーンに映し出される8ミリテープのように。
あの微妙な揺れ感ややるせないノイズ。
長く生きてれば安っぽいセンチメンタルのほうが心地よいときだってあるのだ。

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Posted by K@zumi

六番目の小夜子

六番目の小夜子 (新潮文庫)
恩田 陸
新潮社
売り上げランキング: 163,323

津村沙世子―とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。
高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。


読んだー。いやー。甘酸っぱいよー。やっぱ学園ミステリて最高ーっ!
でもね、これってドラマのストーリーとなんとなく違うのよ。よく思い出せないけど。
だいたいの筋はあってるんだけど、けっこう脚色してあったのかもしんない。当然か。

うーん。しかし、こうなるとドラマを見たのが先でかえってよかったかも。
もちろんドラマはドラマでスリリングで怖くて良かったんだけど、先に原作のほうを読んでいたら、それぞれのキャラにきっと愛着ができちゃってドラマの設定にはちょっぴりムッとすんじゃないかな。わかんないけど、、、
それくらい、どの子もかわいくてキラキラしてて魅力的な彼らだった。

しかし栗山千明嬢(と菅野美穂ちゃん)は日本のホラー作品にはかかせない存在やな。
とつくづく思いマスです。

ずいぶんと遅くなってしまったけど、でもやっと原作読めて良かったです。
すごい楽しかった。

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Posted by K@zumi

Another

Another
Another
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綾辻 行人
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 236,476

その学校の、そのクラスにはある「呪い」がある。避けられない死の連鎖に挑む少年少女の運命は・・・。
新本格の旗手が満を持しておくる、戦慄の青春ホラー。


妖しくてワイルドで世紀末な雰囲気むんむんの表紙の女の子のイラストが目を引きます。
囁きシリーズでのきたのじゅんこさんのイラストもやさしくて幻想的でとってもすてきでしたが、この装画もなかなかキャッチーで良いです。

読み始めて、これってなんかいつものアヤツジ節とちょっとちゃうやん?ちう印象。
まあ主人公が中学三年生の少年なので、彼目線になるからそうなのかもしれないけれど。
いつにもましてユーモラスで、湿り気の少ないさらっとしたナチュラルな文体にじゃっかんおどろき戸惑いながらも好感度はさらにアップのモヨウ。

うーん。こんなユキトもなかなか新鮮で良いではないですかー。
すでに化石になっている青春特有のさわやかさや気恥ずかしい甘酸っぱさが、いわゆる "NHK少年ドラマシリーズ" ぽくてグーです。
でもあくまでも謎めいたホラーミステリのテイストは崩さずに。それなりに猟奇的に。

最後の選択は、ああするしかないのかもしれないけれど、わたしならとんでもなくトラウマになっちゃうなぁ。ちょっと耐えられない。
他愛ない日々とはとうてい呼べそうにない、あまりにも過酷で残酷な青春のひとかけら。

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Posted by K@zumi

最後の記憶

最後の記憶 (角川文庫)
綾辻 行人
角川書店
売り上げランキング: 199,607

脳の病を患い、ほとんどすべての記憶を失いつつある母・千鶴。彼女の心に残されたのは、幼い頃に経験したという「凄まじい恐怖の記憶」だけだった。突然の白い閃光、ショウリョウバッタの飛ぶ音、そして大勢の子供たちの悲鳴―。死を目前にした母を今なお苦しめる「最後の記憶」の正体とは何なのか? 波多野森吾は、母の記憶の謎を探り始める…。


ゆいいつ、アヤツジさんの直筆サイン入り単行本。もー宝物です♪

冒頭から幻想小説風な不穏であやしげな雰囲気むんむんで、どことなくキングっぽい流れから、ラストはターミネーターでオチました。 あんまりホラーとゆう感じではなかったかな。
また、いろんな意味で考えさせられる物語りです。お勉強にもなるし。

主人公は無駄にプライドが高くて、やさしいふりした意気地なしでまったくもって自分のことしか考えていない、思わず後ろからこん棒で殴りつけたくなるような人物。
また男女の差なのか頭のなかみの差なのか、そのへんはよく分かんないんだけど、この主人公の核となる "恐怖" の部分がわたしにはあまり切実とは伝わってこなかったのですね。
彼のいらん妄想とゆうか早とちりな絶望でじょじょに追い詰められてそれによってアルツとゆう病気じゃなくて、自分自身で勝手に狂っていく。
そこがなんとも歯がゆくて、「あほんだら!」と喝を入れたくなる感じ。

そしてこのぐだぐだな男を精神的にしっかと支えようとする健気なヒロインがこれまた美人で仕事ができてかっこよくてほぼパーフェクトな女性だったり。 やっぱりこれが世の男性たちの願望なのかしらね。

男とゆうのはほんとうはか弱くてデリケートで情けないものなのでいつだって強くて美しくてたくましい女性にそばにいてもらいたい。 どうか見放さないでおくれ。
そんなお茶目なメッセージが、ちらりと聞こえてこなくも、、、、

なんて。物語の内容とはまったく関係のないところでの感想でした。
ユキト、ごめんね☆

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Posted by K@zumi

ラットマン

ラットマン (光文社文庫)
道尾 秀介
光文社 (2010-07-08)
売り上げランキング: 43,217

結成14年のアマチュアロックバンドのギタリスト・姫川亮は、ある日、練習中のスタジオで不可解な事件に遭遇する。次々に浮かび上がるバンドメンバーの隠された素顔。事件の真相が判明したとき、亮が秘めてきた過去の衝撃的記憶が呼び覚まされる。本当の仲間とは、家族とは、愛とは―。


道尾さんの『ラットマン』読みました。
『シャドウ』のときにもあんなにがっつりやられちゃってるのになんでそう素直なんだよ?オマエ。
て感じですね。ほんまに。
疑わなくっちゃいけません。なんてったって道尾さんなんですから。はい。

8ビートのサウンドのなか『厭魅の如き憑くもの』級のミスディレクションの連発で、うまい具合に肩すかしをくらいながら真相(勘違い?)が解明されてゆきます。
全体的には月の光のように淡く哀しいお話なんですが、エンディングはしっとりとハートウォーミングで救われます。sundownerのみんなの若くてノリのいい会話も楽しくてグーです。
また『屍鬼』を実にタイミングよくお盆に読んだように、この『ラットマン』もぐうぜん12月に読めたのは、とってもラッキーだったような。

Xmasはうれしいけれど、なんとなく切なくてもの悲しい。
イルミネーションはあまりにもキラキラと無邪気にきらめき、見てると泣きそうになる。
年の瀬は、華やいでいてもどこかしらしんみりと寂しい感じがしますね。

そんなしゅんとした気持ちとも相まって、キャンドルのような物語りになりました。

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Posted by K@zumi