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天鬼越―蓮丈那智フィールドファイルⅤ―

天鬼越: 蓮丈那智フィールドファイルV
北森 鴻 浅野 里沙子
新潮社
売り上げランキング: 106,750

真贋など、どうでもいい。何故偽書が作られたのか。重要なのはそれだけだ。奇怪な祭祀「鬼哭念仏」に秘められた巧緻なトリック。都市に隠された「記号」の狭間に浮上する意外な真相。門外不出の超古代史文書に導かれた連続殺人――。氷の美貌と怜悧な頭脳をもつ異端の民俗学者・蓮丈那智が快刀乱麻を断つ。


わたしが北森作品で特に心惹かれるところは、膨大な知識量の上に成り立つ見事なストーリーもさることながら、あの透き通るような美しい寂しさにあると思うのです。
静謐な大人の孤独とでも申しましょうか、「自分がこれまで為してきたこと、これから為すべきことを考えるには、寂しいくらいがちょうどいい」というあのセンテンス(『孤拳』より)に、彼の心情が集約されているのではないだろうかと。そしてそれは、人生の半分を過ぎたわたしが死ぬときまで心に留めておきたいことのひとつに確実になっています。

それにしても、浅野さんはよくこの企画を受ける気になったなあと思いました。
だってあの『蓮丈那智フィールドファイル』ですよ? 熱狂的なファンが少なからずいる。
その「蓮丈那智シリーズ」をなぞるということは、良くできて当たり前(おそらく大多数のファンは好意的な眼で見てくださるとは思いますが)そうでなければ多くの評論家や民俗学ミステリファンのみならず、その那智ファンからも執拗なアラ探しの憂き目に遭い、ともすれば針のむしろのような書評を受けるかもしれないということがワカメちゃんのパンツのようにミエミエのこの企画をどうやって口説き落としたのだろう。
編集者ってほんま恐ろしいわ。

ということで、試練をチャンスに変えるその浅野さんの男前なくそ度胸に深く敬意をはらいつつ、この作品は浅野さんの愛する北森作品への神聖なオマージュとしてありがたく読ませていただきました。
はい、とても健闘されていたのではないでしょうか。ご苦労がしのばれます。

個人的にうれしかったのは、ラストの『偽蜃絵』
ンもー、那智さんたらしれっとこちらにみえられてたのですねーッ!!(いつの間に)
ししし、しかも舞台となっているあの料理旅館、もしかして『清〇亭』でしょうか?
そしてここまでお膳立てしていただいてる以上、そこから浮かび上がる人物といったらもう分かりきってるじゃあないですか!っていうちょー脱力的お約束(ベッタベタ)な趣向がいっそ快感。
奇しくも来年はその方の没後50年てことで、いかにもタイムリーな気がしてなりません。
もしかして狙ってましたか?>浅野さん(^ω^)

表題作の『天鬼越』は横溝先生の『獄門島』をほうふつとする因習とおどろおどろしさが漂う一品。
これなんとか映像化してくれませんかねー。もともとそのつもりで作成されたプロットなんだし。
きっと北森センセイも望んてはったハズだし、いいご供養になると思うんですけどぉ?

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Posted by K@zumi

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