『臨床犯罪学者 火村英生の推理』第2話

わたしはどんどんこのドラマが楽しみになってきました。

登場人物については、各々の描き方の方向性がいよいよ見えてきた感じがします。
やはり火村准教授は犬っぽいキャラなんですね。猫好きなのに。しかもアリスがスキすぎてヤバい。
前回の「泊めてくれないのか」に引き続き、今回の「俺も泊まりに行っていいか」と云うときのすがるような眸がまさしく“捨てられた仔犬のような”なんやね。「冷たいにゃ」とか、なんなんやソレ?
原作でも火村氏は学生に携帯の着メロを勝手に変更されたりとか、意外に隙が多い。
毎回入るんやろか、こんなちょけたシーンω

アリスも関西弁はさすがにイマイチやけど、親友として彼の傍に寄り添いながらも時おり悪夢にうなされる火村氏を特に問いただしもせずにただ黙ってじっと気遣う、その辺の距離感や度量の大きさを感じさせてくれて、それがとてもうれして頼もしいです。

難をいうなら、ふたりとも前髪がうっとうしい。

ただなあ、時絵ばあちゃん(ドラマでは火村氏は「時絵さん」と呼んでるんやね。おやまあ)がキャラ的に「中村玉緒」とびみょ~にかぶる。玉緒さんは出てナイけど。
しかしあんなに年寄りっぽくしなくてもいいのになあ。せっかく夏木マリさんなのに。とは思ふ。

ドラマの冒頭で時絵さんが困っていた、ものすごい達筆で書かれたかなーり難易度の高そうな“暗号”
あれは『英国庭園の謎』に出てきたアノわけわからん詩みたいな暗号文ですよね。
「こんなことを犯罪学者にやらすなってんだよな」的発言もちゃんと入ってましたね。クスリ
これを小ネタにして、「行間を読まないと隠れた言葉は出ない」というヒントを物語のキーとしてうまく取り込んでいたなぁ、と思いました。
他の作品にも『動物園の暗号』とかライトな暗号物もちょいちょいあるので、またネタとして使われるかもしれませんね。
『ジャバウォッキー』や『比類のない神々しいような瞬間』なんかはそれだけで一本撮れるでしょうが。


で、今回のハイライトシーンはずばりココでしょ?(´∀`)
宿に現れた火村氏がすぐさまつつつと進んでアリスにぴっと指を突きつけて

 火村氏 「犯人はお前だ!」

 アリス 「しょーもないこというなッ!!」


火村センセのボケは健在です。

それにしてもドラマ版アリスの三角筋すごいね!びっくりした。
アリスってさ、見るからに内向的でおとなしそうなごくフツウの柔和な青年然としていて、小説家という職業上けっこうなひきこもり生活をしていると思われるのであんなに逞しくないと思うんだがなあ。
鬱をぬいた関口くん、って感じ?(ちょっとちゃうか)

それと、斎藤火村を金田一みたいというのは、共通項「髪型」のみだよね?(え゛っ?)
むしろわたしには江神さんのほうが金田一さんに近いように思う。あの寂しさと柔らかな物腰。
火村氏が犯罪者に向けるまなざしはあくまでも「冷酷」で、彼らを徹底的に憎んでいる。
青白い焔のような容赦のない憎悪。
一方、江神さんから伝わってくるものは「哀しみ」だ。どんな犯罪者に対しても江神さんが彼らに向けるまなざしは常に穏やかで深い海のような静謐な哀しみに満ちている。
有栖さんが紡ぐ、二大探偵(どちらもダイスキだが)にはまったく真逆の印象があるのがおもしろい。


ここで少しだけわたしの持論を。(お付き合いいただける方だけ…)



このドラマでは初回から火村氏が誰かを殺害するようなシーンがくり返し描かれていて、どうやらその人物とは男性のようであります。(あのごつい手と声が女性のハズはない)
また、火村氏は殺人現場で犯人の顔を想像するときに、そこに自分の姿を重ねてしばしボーゼンとしてしまうシーンも多々あります。
(原作ではその辺が曖昧で果たして殺したいのが誰なのか男なのか女なのか明記はされていません)
で、彼が犯罪者のなかに自分の姿を見つけ、その自分に対して激しい憎悪と戸惑いと耐えがたい恐怖を持っていて、故に彼は学問にかこつけて犯罪者を狩っているのだ、と。

火村英生のモデルは『双頭の悪魔』に登場する「志度晶」という詩人であると作者は答えています。
五歳のときに志度は眼前で、酒乱の父親がずっと自分を守りつづけてくれた母親の首筋に斧を振り下ろして彼女を朱に染めるところを見てしまった、という悲惨きわまりない過去を背負っています。
この設定がそのまんま生かされるのかどうかは判らないけど、でもそれを踏まえるとつまり…
幼い英生少年の母親を彼の目の前で惨死させたのはアル中のろくでもない父親で、そんな非道な、しかも心から憎むべき悪魔のごときその男の顔が、もしも彼にふり二つだったとしたら、、、

これはかなりのトラウマになるんではないでしょうか。彼が「人を殺したいと思ったことがある」人物が自分にそっくりな父親だったとしたら、こんな悲劇はないでしょうね。
火村氏が殺人者の顔に置き換えて見てしまうアレはひょっとしたら父親なのかもしれない。母親に斧を振りあげるそのうすら笑いを浮かべる狂気の顔は自分にうり二つな男だ。そして自らの悪夢の中で真っ赤な返り血をあびながら何度も何度もナイフを振り下ろしている先の相手の顔は、もはや父親なのか彼自身なのか判らないのかもしれない。

自分に人殺しの血が流れていること、自身にも忌まわしい殺人の衝動を抱えていたこと。そしてそんな呪われた血が、いつか自分の欲望をその暗黒の口で飲み込んでしまうかもしれない壮絶な恐怖。
今もなお境界線上で彷徨いそんな脆弱で不安定な己を心底憎んで、なので愚かで身勝手な“美しくない犯罪”へと手を染めた者を、それを踏みとどまった側からの「礼儀」として彼らを(自分を)蠅のようにはたき落としてるのだとしたら……。

まあ実際問題、そんな殺人加害者の親族がいくら研究の一環とはいえ捜査にかかわっていることを警察側が把握していないなんてことはないでしょうけどね。

ドラマ版の火村英生には、そんなキケンな妄想も抱かせてくれます。

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Posted by K@zumi

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