遊星からの物体X ファーストコンタクト

遊星からの物体X ファーストコンタクト DVD
ポニーキャニオン (2016-03-16)
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どこまでも雪と氷が広がる南極大陸。
考古生物学者ケイトは、氷の中で発見された、太古の昔に死んだと思われる生命体の調査のため、ノルウェー観測隊の基地へと降り立った。しかし、“それ"は、まだ生きていた。調査の中、ケイトたちが解き放った物体は、狙いをつけた生物の体内に侵入、細胞を同化して、その生物になりすまし、自らの生存のため人間同士を争わせようとする宇宙からの生命体だったのだ。そしてケイトと12人の観測隊員たちは、氷に閉じ込められた南極基地の中で、突如人間から変形して襲いかかる“それ"の恐怖と、誰が“それ"に乗っ取られているのかすら分からない疑心悪鬼に巻き込まれていく…。


ついに観たのである。

それまでのわたしの映画人生を大きく変えた記念すべき作品、J.カーペンターの『遊星からの物体X』
際だって派手な演出ではないからこそ、凍りつくようにひたひたじわじわと迫りくる氷点下の恐怖。
もう絶賛するしかないクリーチャーの造形。そのハチャメチャに触手を振り回すときのギミック音。淡々としたアイスブルーの世界。そしてみごとにむさ苦しいおっさんばっかりの登場人物。

こちら『ファーストコンタクト』はその「物体X」の“前日譚”という位置づけとなっているモヨウ。
前作では「なにがなんだかちょっとよく分かんないんだけどとにかくヤバいらしい」てな感じで詳細とか経緯とかは観客の想像にまかせ、狭く閉じ込められた空間にはびこる不安感や不信感をあおりまくってお互いを激しく疑心暗鬼にさせているところが心理ドラマとして秀逸だった。
怪物に襲われる恐怖もさることながら、主人公たちはこの極限の事態に誰も信用することができないというサイアクの精神状態に追い込まれてしまう。クローズド・サークルのまさに真骨頂。
ミステリの場合は真相はやがて白日の下に引きずり出されて一件落着だが、ホラーではその辺は置いてけぼりがセオリーなのだ。

本作のユニークなところは、その思わせぶりだったところが伏線としてひとつひとつキチンと回収にまわっているのだということ。
たとえば、前作の冒頭でなぜヘリが犬を追いかけ回していたのか、とか、あの二つの顔が溶け合ったようにくっついたクリーチャーの焼死体はなんだったのか、とか、あと斧の演出もなかなか心憎いではないか。
これらは前作を知っていればもちろんおもしろいし、たとえ知らなくてもまったくOKなところも良い。
また映像から受ける印象は、さすがに本作のほうがクオリティが高いし洗練されているとはいえ、全編を通してまとわりつく陰鬱とした不穏な空気感などを大きく損なうことなく前作に対するリスペクトがそこここに感じられて、その真摯な気持ちがカーペンターファンにもうれしい。
その最たるものがラストシーンに使用されたBGMなんじゃないかな。あれにはしびれたー。

以下すこしネタバレを…


本作のヒロインは、鈴木杏と長澤まさみを足して二で割ったみたいな感じのルックスのとても聡明で理知的な女性考古生物学者。
最初は「あの物体X」に女かよ?という偏見でいっぱいだったが、彼女がひじょうに冷静で好感の持てるキャラクターであったし、ストーリーの運びとしても特に設定に無理はなかったように感じられた。
その有能な彼女がエイリアンは無機質には擬態できない(シャワー室に転がっていた血まみれの歯の詰め物を発見して)との仮説を立て、仲間の歯に詰め物があるかどうかを検査して判断するシーンがある。

前作では採取した血液に熱した導線を近づけて検査をするのだが、このシーン(血がぴゃあっと逃げる)がとにかくインパクトがあって忘れがたい。そのあと擬態エイリアンから首がぽたりと落ちて足か出て目が出てブサイクな蜘蛛型クリーチャーとなってトコトコ這い出てくるところもかなり衝撃的だったな。
それに比べればいささかユルめの判定方法だが、血痕と詰め物だけで擬態化の可能性を見抜いた慧眼はさすがであった。ただ、健康な歯だとグレー判定になるというのはある意味気の毒すぎるけれど…。

あ、それとこれは他のエイリアン映画でもそうなんだけど、あれほど高度な文明と技術をあわせ持つ知的生命体がなんであんな粘膜どろどろ触手わさわさの極めて原始的な――知性とは程遠い――形態をしているのだろう、ということ。(あまりにも母体UFOの造形とミスマッチやん?)
人間みたいにとは云わないまでも、もうちょっとくらいコンピュータの操作ができそうな(あの姿で繊細なマシンのメンテなんて無理やぞ)形態であっても良いのになあ、とは思う。

まあそれを云うなら、前作でも本作でもエイリアンが自分の擬態を見破らせないようにいろいろと裏工作――保存血液をダメにしたり、発電機を壊したり――をするのだが、これもいささかピントがずれているような気がする。そんなその場しのぎのまるで土曜ワイド劇場の犯人のようなことをしなくても、最初っから自分のサイダイの弱点である火炎放射器をぶっ壊せばそれでことは足りるんではないのだろうか。
ということは、やっぱ見たまんまのあのエイリアンで正解ってことか。うーむ、、、

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Posted by K@zumi

コメント

こんばんは。

私も大好きです >物体X (^_^;)

カーペンター版の方は映画館で見たんですけど、途中何度尻が浮き上がったかわからないくらい「うひゃっ!(>o<)」の連続でした。あの♪べん・・・・べべん♪のテーマ曲良いですよね~

この前日譚も悪くなかったけど、お話的には結局辻褄合わせになっちゃうから後になればなるほどわくわく感(?)がなくなっていったような気がしました。

※TB打ってみました。巧く飛んでなかったらすいませんです<(_ _)>

  • 2016/04/13 (Wed) 19:22
  • しろくろshow #-
  • URL
しろくろさま

> こんばんは。

 いつもどーもですー\(^O^)/
>
> 私も大好きです >物体X (^_^;)

 ほんまですか!?
 もうね、この作品は何回見ても飽きないし色あせないんです。
 繰り返し繰り返し見てしまう映画のひとつが間違いなく『物体X』なんですよ。
 他にも『ゴースト・バスターズ』とか『名探偵登場』とかいろいろあるんですが。
 ホラーでここまで心酔してしまうのは『遊星からの物体X』だけです。
>
> カーペンター版の方は映画館で見たんですけど、途中何度尻が浮き上がったかわからないくらい「うひゃっ!(>o<)」の連続でした。あの♪べん・・・・べべん♪のテーマ曲良いですよね~

 劇場でご覧になったのですね~
 いいな~いいな~
 わたしはむかし懐かしいLDで見ました。
 マイケル・ジャクソンの『スリラー』のPV(メイキング)といっしょに
 当時めっちゃ興奮してヘビロテしてました。
 「今度生まれ変わったらきっと特殊メイクアップアーティストになって、
 このメンバーのなかに加わるぞ!」なんてズーズーしく思いながら。
>
> この前日譚も悪くなかったけど、お話的には結局辻褄合わせになっちゃうから後になればなるほどわくわく感(?)がなくなっていったような気がしました。

 まあ、そうですね。
 つじつま合わせはそうなんですが、手品の種明かしを見てるみたいで
 (まあ本音を云うと、別に明かしてもらわなくても良かったんだけど)
 わたしはそれなりに楽しめましたよ。すこし中だるみはありましたけどね。
 実はもっと興ざめになるかと心配してましたが、意外に大丈夫でした。
 ラストの宇宙船のシーンはちょっとどうなんだろう、とは思いましたが…
 でもヘリでワンコを追いかけるところは思わずぐっときちゃったですねえ。
 防ぎようのない悲劇(判っているだけに胸が痛い)を予感させて
 あのたまらない不穏感を誘う映像とBGMで、サイコ―のエンディングに思いました。

 しかし、あのピアスの落ちは悔しかったナ。
>
> ※TB打ってみました。巧く飛んでなかったらすいませんです<(_ _)>

 飛んでます。ありがとうございます。
 わたしも僭越ながら相互にさせてもらいますね。

  • 2016/04/14 (Thu) 16:40
  • K@zumi #pULoeKa6
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